好きな街
今週のお題「好きな街」
今週のお題なるものに挑戦。
大学の夏休みを利用した久しぶりの帰省。
夏休みということもあり、セミの鳴き声がこだまし、アスファルトの地面からも蒸し返すような暑さを感じる。
無人駅の切符回収ボックスに切符を入れ、名ばかりの改札を抜ける。
そこには大学に行く前は、時々うっとおしくも感じる懐かしい顔があった。
親同士が仲良く、家も近所。腐れ縁というやつに近いかもしれない。
よっ と久しぶりに会ったにしてはそっけない挨拶をされこちらも よっ とつられてそっけなく返してしまう。
田んぼのあぜ道を彼女は自転車を押して歩き、その一歩後ろで後ろ姿を眺めながら歩く。
横に並んで歩くのも気恥ずかしく、中学の頃から二人で歩くときはこの位置だった。
他愛のない話は積もるもので少し離れていた時間がさらに話題は積もっていた。
少し歩いているとあぜ道を抜け、右手には川が見える。
子供の頃によく遊んだ川だ。
祖父と釣りにも行ったし、こういう暑い日には友達とよく飛び込んでいた。もちろんやんちゃな彼女とも。
服のまま飛び込むため親に毎回怒られ、彼女まで俺が巻き込んだのだと思われさらに怒られる。彼女は小狡いためにその時は黙って俺に罪をなすりつける。
うちの家でシャワーを浴び、アイスを食べて帰るというのが川に飛び込んだ際の決まった行動。
ある日、その時のシャワー上がりの彼女の匂いが今のこの一歩後ろを歩く立ち位置へと変化させた。
そんな川を横目に家にどんどん近づいていく。
その時に彼女は俺の横に並んだ。
中学からの立ち位置が変わる。
むずがゆさと居心地の悪さを感じながら、今まで感じたことのない感情が湧き上がる。
風に乗って彼女の匂いが届く。夏ならではの汗の匂いが若干混じったシャンプーの匂い。
思わず、好きだ とつぶやいてしまう。
そう、彼女は小狡いのだ。
好きな街という言葉でイメージされた分をただただ綴ってみました。
黒歴史になるでしょう。
おやすみなさい。