過去の清算
数年振りに彼女と会う。
彼女と言っても元がついてしまうが。
別れた理由は単純。
高校を卒業して遠距離になったからだ。
学生にとっての関西と九州の距離は大きい。
ただ距離も時間も空いた僕らだったが、彼女はいつも通りだった。
彼女はよく言うクラスのカースト制度では上位。かく言う僕はクラスのカースト制度にも含まれていないような生徒だった。
そんな彼女が学生時代に僕と彼氏彼女の関係だったのかは当の本人の自分でさえ謎である。
でも当時は心の底からこの子に出会えてよかったと思っていた。
僕はずっとビール。彼女はチューハイ。あの頃は飲めなかったお酒も飲めるようになり僕らの距離もだんだん近づいていったが、無情にも時間が来てしまった。
店を出る際に成長した姿も見せたいと遅くなったエスコートを行う。
下駄箱に預けた靴を取り出した際に背の低い彼女が履いていた高校時代から変わらないヒールの高い靴があった。
それを取り出し、皮肉交じりによくこんなかかとの高い靴が履けるなと言う。
そんな彼女は、最近の流行りだよ。やっと私に時代が追いついた。そう自慢げな顔で話した。
その一言が僕の背中を押してくれた。
高校時代と変わらず、とある駅で乗り換えの際に別れる。
ばいばい、また行こうね。
そのまたは訪れないことはわかっているが、お互いに口にした。
僕は思い出をそっと大切に片付けるように彼女の電車が見えなくなるまで見送った。